「ねえ、光輝」
光輝はドアからあたしに視線を移して。
『なに?』と首を傾げた。
「すずちゃんのこと覚えてあげてね!
すずちゃんは、誰よりも光輝のことを見てる。
だからさ…もう、別れてください」
「え…?」
自分から告白したのに、自分からフるなんて。
あたしもとことんばかだけど。
友達の気持ちをわかりながら、少し意地悪をしちゃったほうが、辛かったから。
あたしには光輝しか見えていなかった。
もっと周りを見てなかった。
せっかくたくさんの異性がいるんだもん。
あたしの恋愛対象は…たくさんいる。
あたし諦めるから。
だから、光輝がすずちゃんのことを覚えないのは許さない。
「光輝の恋愛対象はあたししかいないって言ったのは、訂正!
確かにいまはあたししかいないけど。
光輝が作ればいいんだよ!」
だからすずちゃんのことを見てあげて。
もうすずちゃんに心を奪われてる光輝は、あとはすずちゃんのことを覚えるだけだから。


