キミと帰る道






「なー。 さっきの…スズってなんて名前?」





もう遅いんだよ、あたしは。





だって光輝は、鈴のキーホルダーとすずちゃんの特徴を覚えちゃったから。





「……逢原、すずちゃんだよ」





教えなくてもいいのに。
心のどこかでは諦めがついてるから。





…すずちゃんのことは憎い。
だって光輝の心を奪っちゃったんだもん。




光輝はすずちゃんの顔全体を見てもわからないのに。
まだ完全にすずちゃんのことを覚えてるわけじゃないのに、心のドキドキだけは覚えさせちゃうんだもん。





だけどね。
あたし、すずちゃんと優芽ちゃんのことが〝友達〟として大好きだから。





…そこまで悪者にはなれないや。