「一緒に帰ろう」
優しくて穏やかな声が、人の少なくなってきたであろう空間に心地よく響く。
あぁ、時間切れだ。
藤谷くんが聖羅ちゃんを迎えに来ちゃった。
「光輝!
すずちゃん、ということでよろしくね?」
近づくなってことでしょ?
うん、わかった。
やっぱりそれが…1番いいのかもしれないや。
「スズ、一緒に帰ろう」
そう諦めがついて、笑顔でふたりを送り出そうと決めたとき。
藤谷くんが私を呼ぶ声が耳に届いた。
……って、そんなわけないよね。
きっと聖羅ちゃんを呼んだのに。
都合のいいように考えちゃうや…。


