そう思って、スクバを肩にかけて動こうとしたら。
聖羅ちゃんが私の目の前に立った。
「ねえ、すずちゃんっ」
「え? …なに?」
「この〝鈴〟返すよ〜。
光輝にもう1回いるか聞いたんだけどさ。
こんなのいらないって言ってて。
だから、すずちゃんに返す」
聖羅ちゃんはピンクの根付を持って、チリーンと音の鳴る鈴を宙に揺らす。
…聖羅ちゃんのその、きっと悪気のないような言葉が。
トゲになって、胸に突き刺さる。
鈴を見たら誰かが頭に浮かぶって言ったじゃん。
……それすらなくなったら、また1からのスタートなんだって、思い知らされる。
「ごめんね?」
「…っ、なんで聖羅ちゃんが謝るの?
私が藤谷くんに勝手に渡しただけだし…」
「言いたいことは、それだけじゃないの」
「……え?」


