ウソの言葉を並べて。
ウソの笑顔をふたりに向けて、私は早足で学校に向かう。
…このままじゃ、聖羅ちゃんのことを嫌いになりそうだったから。
大切な友達を嫌いになりたくなかったから。
…逃げたんだ。
お願いだから早くこの気持ちを消して。
2度と思い出せないように、気持ちを消したいよ…。
「……っ…」
ツーっと瞳から零れる一筋の涙を、ブラウスの袖で拭う。
これ以上涙が零れないように。
声を押し殺して………。
なにもかも忘れちゃおう。
それが、1番なんだ。
藤谷くんに話しかけたこと。
放課後にした約束。
何回も繰り返した〝初めまして〟。
辛くても我慢して。
覚えてもらいたくて、話しかけて。
そんなことを忘れちゃえばいいんだ。


