キミと帰る道






隣でくっついて座る聖羅ちゃんも、驚いた顔で藤谷くんを見た。





「え? 光輝⁉︎
人のこと…覚えられるようになったの?」





そんな私たち3人を優芽ちゃんがよくわからないと言った顔で見つめる。





「…いや、そうじゃないけど。
なんか…名前が出てきた」




「ふぅん………」





聖羅ちゃんはなぜか悲しそうな表情で藤谷くんの横顔を見つめていた。





「そ、そうだ!
時間ないよ!ほら、食べよう!」





そんな悪い雰囲気の中、優芽ちゃんが空気を変えようと大きな声を出した。





聖羅ちゃんの隣に優芽ちゃん。
またその隣に私が座って、お弁当を食べる。





……せっかく名前を呼んでくれたのに。
初めて呼んでくれたのに。





〝すず〟のアクセントは〝鈴〟だったけど。
それでも…少しだけ嬉しかったのに。