いつも…駅までの道のりを、静かだけどたまに話しながら歩いていく。
その空間はなんだかぽかぽかしてて心地よくて。
藤谷くんも…楽しそうにしてるから。
昨日と同じことを聞いてきたりもするけど、それは仕方ないし。
それに私は…その放課後になるのがいつも楽しみで。
藤谷くんと一緒に帰るのは楽しくて…。
藤谷くんと過ごすうちに。
少しずつ、藤谷くんのことがわかってきたのかもしれない。
「私と藤谷くんは友達。
藤谷くんが忘れちゃっても、諦めないで話しかけるからね。
もし…瞳と声を覚えてくれてるなら、それは嬉しいけど…」
「あぁ。
瞳と声は…忘れねぇよ」
心のどこかで期待しちゃう。
もしかしたら、明日は藤谷くんから私の名前を呼んでくれるんじゃないか、って。
「ありがとう」
放課後になるとまた忘れちゃったとしても。
我慢するから。
瞳と声だけは…頭に記憶してね。


