「もー、変な冗談はやめてよね〜…」
「冗談じゃねえし。
なに? 用がねーなら戻れよ」
なんで?
これは本当に藤谷くん…?
キーンコーンとHR開始のチャイムが鳴った。
もうこれは…遅刻ってなっちゃうや。
でもそんなことよりも。
脳裏に昨日の帰りのことを思い出す。
…人の顔が覚えられないって言ってたよね……。
それって、こんなにひどい症状なの?
「…昨日、一緒に帰ったじゃんっ」
「………一緒に…?」
藤谷くんが疑いの目を向けてくるから。
私は本当のことを言ってるのに、負けそうになっちゃう。
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