屋上のドアがバタンッと大きな音を立てながら自然的に閉まった。
すると、その音に反応したのか、フェンスに寄りかかって空を見つめていた藤谷くんが、ゆっくり振り返った。
「なにしてんの?」
冷たい声に苦笑いを返しながら、藤谷くんの隣に立って空を見上げる。
「…んー…気持ちいい…」
なんて言うのかな、鳥になった気分。
体全体が風を感じる。
「……誰? 俺になんの用?」
「へ…?」
藤谷くんの迷惑そうな冷たい声に、閉じていた目を大きく見開く。
いま…なんて言った?
「どうしたの、藤谷くん…?」
「だから、おまえが誰かって」
『誰?』…って言ったよね?
ちょっと、どう言うことか…頭が理解に追いつかないよ。


