…藤谷くん?
もうこんな時間なのにどこ行くんだろ?
ちょっとくらいいいよね…!
私はトイレには入らずに、藤谷くんだと思われる背中を追いかけながら階段を上る。
違かったらどうしよう。
でも…あれは絶対に藤谷くんだもん!
階段をどんどん上って行く藤谷くん。
上るたびに、柔らかそうな黒髪がふわふわと動く。
…屋上? こんな時間に?
なにしに行くのかな?
ひとりだし……。
もしかしてサボり?
いろいろ疑問を抱きつつも、聞いて見なきゃわかんないからそのまま追いかける。
ひとつ下の階段で、屋上のドアがバタンと閉まる音を聞いて、私もそーっと続いてドアをゆっくりと開く。
…というか、ハネてること忘れてた。
まあ、いっか!
屋上は、真っ青な空に包まれていて。
優しくて少し涼しい風が、ふわっと髪をなびかせる。
初めて来たなあ…。
こんなにいいところだったんだ。


