キミと帰る道






「ねえ、夏ってまだかなあ?」





昇降口を出て、オレンジ色に染まる空を見上げながら、小さく呟く。





「え? どうしたの急に」




「あ!わかった! あのひまわりでしょ?」





優芽ちゃんは不思議そうな顔で見てくるけど、聖羅ちゃんはわかったかのように、にっこりと笑って私を見てきた。





「そう、ひまわりが咲いたときには…光輝くんに思い出してもらえるかなあ。
…なんて、思ったの」





顔がやっぱり熱くなる。
ちょこっとだけど、恥ずかしくて。





だけど、これが本当の気持ちだから。





お願いだから思い出して。
あの、告白も…いままでのことも全部。





正直に言うと、辛くなってきちゃった。
覚えてもらえることもできなくて。
それでも、〝いつかは〟って我慢して。





…でも、〝早く〟思い出してって思っちゃう自分が、心のどこかにはいるから。





だから、辛くなってきちゃうんだ。