先生はなにかを考えるそぶりを見せてから、ベッドに近づいた。
「光輝くん。
この子のことは…わかる?」
まだ若そうなのに、口調はものすごく穏やかな先生は、聖羅ちゃんのことを指した。
「……聖羅ですか?
わかるに決まってんじゃないですか」
当然のように答えた藤谷くん。
すると、先生は後ろに立つ私と優芽ちゃんのことを振り返って見た。
あ…なんか、嫌な予感がする。
「じゃあ、この子は?」
……次に指したのは、私。
藤谷くんの顔を見るのが怖くて、思わず俯く。
「……初めて会った人、です」
お願いだからこれ以上傷つけないでよ…!
そんな気持ちは藤谷くんにも先生にも伝える気はないけど。
もうこれ以上にないくらい胸がキリキリ痛むんだ。
「…あれ、あなたは光輝くんと一緒に運ばれて来た…」
「…っ、はい。 そうです」
「……そうですよね」
先生は少し悲しそうな顔を見せて、また藤谷くんのほうを向いた。


