遠くのほうから誰かが呼んだ救急車の音が聞こえてくる。
「……す…ず…」
そんな声が聞こえて。
私は、藤谷くんの口元に耳を寄せる。
藤谷くんは顔を私に向けた。
「すずが、助かっ…て、よかった…」
「藤谷くんも助かるよ!
もう少し…がんばって…!」
途切れ途切れの言葉だけど、しっかり聞き取る。
「…よか、った……」
藤谷くんはそう言って、いつもみたいに柔らかく笑った。
ねえ、どうして…。
神様は本当に意地悪だよ。
お願いだから。
藤谷くんが生きてくれてるだけでいいから。
「うぅっ……、藤谷くん…!!」
ピーポーという音が途切れると。
何人かの救急隊員が走って寄って来た。
……藤谷くん、もう助かるから。
もう少しだけ…がんばって。


