教室に戻ると。
優芽ちゃんが近寄って来た。
「あれ? 聖羅ちゃんは?」
だけどそこには聖羅ちゃんはいなくて。
いまは予鈴3分前で、いつもは予鈴鳴ってから帰るのにな。
「……あのね。
藤谷くんと聖羅、別れたみたいなの」
「…へ…?」
優芽ちゃんの口から出てきた言葉に、耳を疑う。
どうして?
なんで、別れちゃったの…?
「でもね、聖羅は清々しそうだった。
それですずに『諦めなければチャンスはいつでもあるんだよ』って伝えてってさ」
「チャンス…?」
もしかして。
また、聖羅ちゃんが私のためにチャンスを作ってくれたの?
だから、藤谷くんは………。
「…聖羅にはいつも通りにしてあげてね? あの子、口では言わないけどかなり傷ついてるとは思うから」
「……うん」
当たり前じゃん。
聖羅ちゃんも、藤谷くんに恋をしてるんだから。
傷つかないわけ、ないよ…。
でもそれなら。
どうして傷つくってわかってたのに、別れたのか不思議だよ…。


