好きな人には好きな人と幸せになってほしいから。
それでもう満足しちゃう。
それに…目標は達成できた。
だって、ほら。
まだ街路樹には、ちゃんと葉が生い茂ってる。
赤くキレイに鮮やかに染まってる。
「あぁ。 …よろしくな」
藤谷くんは、柔らかく笑った。
そんな笑顔に…胸がドキッとする。
———ダメ。
藤谷くんのことに胸が動いちゃダメ。
この気持ちが溢れないように。
溢れちゃわないように。
我慢する。
涙も零れないように我慢する。
…だって〝友達〟になれただけで幸せだし。
それ以上の幸せなんて。
もう…望んでないから。


