「ありがと…っ…」
「いままで…傷つけただろ?
だって、何回も俺に話しかけてくれてたみたいだし…」
藤谷くんはものすごく申し訳なさそうな顔になった。
……そんな顔させちゃうほうが、よっぽど辛いよ。
藤谷くんはなにも悪くないのに。
病気の…せいなのに。
傷ついてなんかいない。
そりゃ、ちょっとは胸が痛んだけど。
…自己紹介をしなくてと藤谷くんに名前を呼ばれるだけで。
そんなこと、忘れちゃったよ。
顔のパーツで覚えてくれたんだよね。
瞳と…声で。
他の人と見分けてくれてるんだよね。
「傷ついてなんかないよ。
嬉しすぎて、泣きそう…」
「それなら…本当によかったよ。
気づかねーうちに傷つけてたら、どうしようかと思った」
立ち止まって話してると。
同じ制服を着た人やスーツの人。
犬を散歩させてる人。
いろんな人が私たちを追い越して行く。


