ジリリリリリ。




近所に響きわたるような大きな音を轟かせ、目覚まし時計が設定時刻――七時を告げる。

私の朝はその知らせを、もういいよわかったからちょっと黙っててという切な願いという名のいら立ちを込めた平手打ちで止めるところから始まる。
 

上半身を起こし、ゆっくりと怠い動作で首を巡らせば、カーテンの隙間から容赦なく朝の光が差し込んでいる。
 



強烈すぎるほどの、朝だ。
 


まだごろごろしていたいという欲求と戦いながら、もそもそとベッドを這い、床の上に降りる。
 
足の裏から伝わるフローリングの冷たさが、またしつこく朝を告げる。
 

わかってますよ、起きますよっ。

 
ぐうたらしていると、更に朝を告げるものがやってくるのが私の部屋なんだから。
 
はあ、とため息を吐くのと同時に、それはやってきた。


「椎名っ、いつまで寝てるんですか、もういい時間ですよ」
 

早速来なすった。
 

内心でげぇっと思いつつ、それはおくびに出さずに入ってきた朝告げ屋さんに笑みを向ける。


「おはよう、結ちゃん。朝から元気だね」
「椎名が目を覚ます何十分も前から起きていたら、貴方もこうなっていますよ」
 

呆れた様子で言いながら結がカーテンをさっとひく。
 

部屋の中に光が差し込み、もう抗いようもなく朝でしかなくなってしまった。
思わず涙が溢れてしまいそうだ。


「ほら、さっさと着替えてください。新学期早々遅刻なんて笑えませんよ」

「はいはい、わかってるよ」
 


そう、夏休みが終わってしまった一日目というのは、悲劇すぎるってほんと。