NEW WORLD

私が出るね、と断って呼び鈴に答えるとなんと相手は須永様だった。
 


なんと道がわからなくなってしまったらしい。ヘルプというわけだ。
 


携帯と財布を持ち、さっそく応援にいこうではありませんか。



「椎名、誰だったんですか?」
 

いざ行かんとしたところで、なんというタイミングで結ちゃんが声をかけてきた。
 


まずい。
須永様と言ったら本日のひどいほどの嫌いっぷり。邪魔されるに違いない。
 


私はにこりとほほ笑む。



「新聞の勧誘だったから、断わったよ。あ、私ちょっとコンビニ行ってくるね」

「は?コンビニ?」

「うん、そんなに遅くならないから。留守番よろしく」
「ちょ、しい――」
 


バタン、と。
 

ついでに鍵を閉め、無駄だけど時間稼ぎして私は家の前にいる須永様に微笑みかける。



「走るよ」

「え?」

「さあっ」


 
まさに脱兎のごとく、私は逃避行を実行した。