「クレープ。食べたい」


「え・・・?」


「クレープ買ってきてよ。それで許してあげるっ」


「瑠璃・・・・・」


思い出したからこそ、あの時流しきれなかった涙が


再び溢れだしてきそうになった。


今。


泣いてる顔なんて見られたくない。


「早く食べたい!!」


私が催促すると、さっと立ち上がり、駆けだしていく颯人。


ドアが閉まるのを確認してから、枕に顔を押し付け、声を押し殺して泣いた。


「うっ・・・・・・うぅ・・・・」


涙は全く止まる気配がない。


颯人が戻る前には止めなくちゃいけないのに。


ごしごしと目をこすると、赤く腫れあがる。


鏡で見てみると、ひどい顔。


「ははっ・・・・。こんなの・・・・・颯人に見られたくないや」


目が赤く腫れあがり、頬には涙の痕。


それを少しでも目立たなくしたくて、顔を洗いに行った。


帰って来た颯人は一瞬、驚いたような顔をしてたけど


何も言わず、二人で一緒にクレープを食べた。