------ ---- -- 「亜子、なぁ亜子ってば!!」 「うっさいよ、棗」 隣で濡れた髪をガシガシと乾かす男子。 ・・・・・・水泳部の棗は、女子に綺麗だと評判の黒い髪を乾かしながら、私の隣に並んだ。 この水泳部のホープに片思いをして二年。 伝えるのを諦めようと決意してから、二ヶ月。 ・・・・・・棗は、誰とも付き合う気が無いようだ。 そう、風の噂で聞いた。