「意味が分からん。ゲツジンだの、身体を乗っ取られてだの、もう少し分かりやすく説明してくれないか?」
山本さんが、再度今宮君に頼んだ。
「今宮君、貴方はあの事が起こった時に何処に居てそれからどうなったの?その辺りから話してくれないと分かりにくいよ。」
樋口さんが優しく聞いた。
「あの事が、起こった時は僕は友達と遊んでました。気付くと川に流されてて生きてました。
両親は死んだでしょうね。川から助けてくれたのが連中ですよ。
ゲツジンです。後でそう自分達を呼んでるのを聞いてその呼び方が分かりました。」
今宮君は少し疲れた様子を見せながらもクールに話した。
特に両親は死んだでしょうねの部分にはヒヤリとする冷たさを感じた。
「両親が亡くなったのを確認したの?それは貴方には大した事ではないの?」
樋口さんが多分僕と同じように思ったのか聞いた。
「大した事ではないですね。」
今宮君が、きっぱりとそう言った。