雨が更に激しくなって来た。


山本さんが煙草に火をつけようとしたがやめた。



全体にコンビニ内の空気が澱んですえた匂いがしているのだ。



晴れた日にはなるべく扉は開けているが、いつ何が起こるか分からない為についつい閉めてしまう事も多いし裏口は完全に閉めていた。



何と言ってもこの人数が生活しているのだから、少しずつ何かが溜まってくるのは仕方ないのかも知れない。


そこには焦りや苦しみ等の負の感情も溜まって来てるのだろうと思えた。



そういう雨の日に今宮君が語り始めた。


「あっちに居た時とは?」


山本さんが聞いた。


それに対して今宮君は山の方を指差しただけだったが、ゆっくり話し始めた。



「人は、自分達とは違う者を弾き出そうとするよね。そういう意味では三川君も僕も同じだよ。しかし緊急時なんだからなあ。」



今宮君は、三川君に話し掛けるように喋ると立ち上がって缶コーヒーを取りに行き一口飲んだ。


雨が更に激しさを増したようだった。