山本さんは股間を押さえながら謝った。
「分かるけど、分かるけど、やっぱり山本さんが悪い。山本さんが楯になっても私達生き延びれたか分かんないし、それに…分かるし凄いなと思うけどやっぱり山本さんがいけない…」
井上ちゃんが泣き声になりながら話した。
あの時の状況を思い出したのもあるのだろう。
感情を上手くコントロール出来ないのだろう。
樋口さんがそれを見て井上ちゃんの肩を抱いてぽんぽんと何度も叩いた。
井上ちゃんは樋口さんの胸で号泣し始めた。
樋口さんは優しくそれを抱き締めて大丈夫大丈夫と言い続けた。
山本さんは、股間を押さえ苦悶の表情を浮かべながらも笑っていた。
今回の事で井上ちゃんと樋口さんが、完全に打ち解けてくれたら良いなと僕は思った。
今宮君の謎については少しずつでも分かれば良いのだろうし、とにかく山本さんが生きてくれた事に感謝しなければと煙草に火をつけ空を見ながら痛感した。