「それだけ?」
井上ちゃんが、まだあるはずと思って聞くと樋口さんは首を捻ってう~んと唸りながら答えた。
「後は追いかけたけど、あの道を器用に凄いスピードで走ったのと今は疲れきった感じで少し食べてぐっすり寝てる。色々聞こうとしたけどほとんど無理だった。
口を聞くのも難しいくらい疲れてた。」
皆が、う~んと唸ったが今宮君が居なかったらどうなっていたかを考えたらゾッとした。
「山本さん!ああいう行動は今後は慎んで下さい。」
僕は思わず強い口調になってしまい山本さんに意見した。
山本さんは頭をかきながらそうだなあと空を見たが樋口さんの蹴りを股間に受けてうずくまった。
「かっこ良く一人で死のうなんて虫が良すぎるのよ!無様でも生きる!そうじゃない!そうじゃないと死んだ渡辺さんに申し訳ないでしょ?
渡辺さんならああいう行動はしないはずよ!」
樋口さんは今宮君から少しはあの時の状況を聞いているのだろう。
それにしても樋口さんの怒りは凄まじかった。