井上ちゃんがきっぱりと言う。良く考えるとこちらに残る井上ちゃんも責任重大なのだ。



いざと言う時には悪路を一人で戻り救援を呼ばなければならない。


山本さんが僕用に短いロープをくれると先に行くぞ!と言った。



山本さんが張ったロープに自分が持ったロープを掛けた。



足場は良くないが上手くバランスを取りながら足で思いきり地面を蹴った。



最初は勢いよく一メートルほど進んだが後はゆっくり向こう側に向かっていた。


張ってあるロープが山本さんの体重でかなりたわんだが、ゆっくり向こう側まで向かっていた。


僕も井上ちゃんも切り株の所のロープに何か起こらないかと観察していた。



山本さんの太い腕に血管が浮いていた。


ゆっくりでは有るが何事もなく向こう側に着くと山本さんは、何とか足場を確保しながら這い上がる。



一瞬山本さんがバランスを崩しかけたが土を掴むようにして何とか持ちこたえ這い上がる。


見ていてあんな事が僕に出来るのだろうか?と思えた。