山本さんは苦笑いしながらOKしてくれた。
こちらでの事を頼むと山本さんが言うと井上ちゃんは素直に言う事を聞いた。
山本さんは切り株に括りつけたロープの余りの部分をナイフで切りそれを僕に見せて笑った。
考えて見ると僕はロープでどうやって向こうに渡るのか具体的に分かってなかった。
山本さんは切ったロープに唾を何度もかけていた。
「何か油のような物でも有れば良いんだがなあ。」
そう言いながら何度も唾をかけていた。
「どうやって向こうに行くんですか?」
僕は不安を押し殺して聞いた。
「張ってるロープにこれを掛けて滑って向こうに行くんだよ。」
一瞬意味が分からず僕は間抜けな顔になった。
「短いロープを張ってるロープに掛けてぶら下がりながら向こうに行くんだよ。」
山本さんが同じような事を二度言って僕は理解したが、え!?っと驚きそれを隠すのに必死だった。