「後を頼むって!そんな!」


井上ちゃんが怒ったように言うが山本さんは煙草を吸いながら笑った。


「大丈夫だよ。落ちても多分這い上がる。念のため言っただけだよ。」



「這い上がれませんよ。僕も行きます!だって向こうに行っても山本さん、一人だと大変ですよ。」


僕は思わずそう言ってしまった。


言った後に後悔したが今更引き下がれない。


僕だって男なのだと自分の震える足を見ながら必死に思いこもうとした。



「内田君、そりゃ駄目だ。俺にもしもの事があったら今宮君は、まだ分からないし三川君では頼りなさ過ぎる。
お前が男なら逆に残ってくれ。」


山本さんが少し強い調子で僕に話した。


「だけど!!一人で向こうに行っても大変ですよ。行きます。
山本さん、大丈夫だって言ったじゃないですか!」


僕の中の何かに火が着いたのが分かった。


足の震えも止まっていた。


山本さんが困った顔になった。


「う~ん、分かったよ。」