その日から見張りの組み合わせが変わったが、心の中はそういう事はどうでも良かった。



僕の中で後悔の念が強く出ていてショックも大きかった。


一番年上で不思議な頼りがいのあった渡辺さんの死は、僕を混乱させ後悔させた。


一時的に僕は裏切り行為をしたのだと思った。


極限状況とは言え渡辺さんは、平静を保っていたのに僕はそれが出来なかった。


かといって井上ちゃんを責める気にはなれなかった。


井上ちゃんも憂鬱そうな顔をしていて僕に一言謝った。



ごめんねの一言だったが彼女がその言葉を出すのに内心はどれだけ苦しんだかと思うと息苦しささえ覚えた。



僕も井上ちゃんにその時ごめんとしか言えなかったし、その後の見張りは二人ともほとんど無言だった。


僕は渡辺さんの事も考えながら家族の事も考えた。


今まで考えまいとしていた事だが両親や兄は生きているのだろうか?と考えずにはいられなかった。