そう言うと山本さんは考え込み黙った。後を引き継ぐように樋口さんが話した。


「若い男ばかりだったと思う。タフで素早くて私は、一人の頭をこん棒で思いきり叩いたんだけど、しばらくしたら起き上がってバイクで逃げてた。

彼らの目的が何だったのかは分からないけど、反撃されるとは思ってなかったのかも知れない。
或いは、嫌がらせだけで帰ろうとしたのかも知れない。

そこの所は分からないけど、まともにやり合って勝てる相手では無いなってのが印象かな。」




山本さんと言えばこの街では知らない人間が居ないほどの喧嘩の強い男だったし樋口さんも相当な腕自慢のようだが、その二人がそこまで言うって事は相手はただ者ではないのだろうと思えた。



皆が黙りこんだ。



「見張りをしよう。今できる事をしよう。窓も取り合えず塞いで明日本格的に塞ごう。

見張りは、まずは、内田君と井上さんで、その後に三川君と樋口さん、俺とこと美ちゃんだ。昼間もするぞ。」