僕と木本さんを襲った上野兄弟もその中に居たが皆が遠巻きに見送るだけだった。


「君達俺もこれから大人しくするから頼むよ。」


山本さんはそう言うと弓をひく動作をして皆を見回しながら笑った。


僕達はゆっくり歩きながらその場を離れた。


「前から良く知ってるんですか?」


そう僕が聞くとこの県のヤクザは大抵知ってるよ。それより銃を上手く取ってきたなと笑った。


僕が銃を見せると俺が預かると言って弾の確認をすると腰に差した。


「委員会か。委員長ってのに一度会いたいな。

この街を仕切ってる親玉だな。

今宮君とあの女の子を何とかしてあげないといけないだろう。」


僕は今宮君と中井サクラさんと会った時の事を話した。


「覚悟してんだな。偉いよな。

だけど、俺達がほっておいていい理由にはならないよ。」


その時路地から声が聞こえた。


「内田さん、山本さんこっちで話させて下さい。」



中井サクラの兄の俊男だった。


周りをしきりに見回して急いで下さいと言った。


僕は山本さんに中井サクラさんの兄ですよと言うと山本さんも素早く路地に入った。


中井俊男はこの先で話しましょうと言うと走った。

僕達も走って付いて行く。


二階建ての古いアパートの階段を三人で昇って一番端の部屋に中井俊男が入り僕達に手招きした。