中井サクラさんの言ったように今宮君の部屋は二つほど先の部屋だった。

しかし、彼女の事はある程度予想して通りだったが、それよりもここの連中のやり方に怒りを感じていた。


窓から見ると今宮君も彼女と同じように錠をされていた。


僕達に多分だいぶ前から気付いていたのだろう。


ベッドにもたれたまま、笑いかけて口を大きく空けて大丈夫と声を出さずに伝えて来た。


僕は部屋に入ろうと体当たりしようとして樋口さんに止められた。


「今は山本さんでしょう。今宮君も私達が捕まるのを望んでないわよ。

行きましょう。」


僕は今宮君に向かって手だけ振った。


今宮君は皆ににこりと笑って見せた。



山本さんの部屋は一番奥だった。


三人で体当たりして部屋に入ると両手をベッドに施錠された状態で僕達を見ると驚いた顔をした。


樋口さんが、二人にしてと言うので僕達は外に出た。

従順な振りをさせる何かの秘策でもあるのだろう。


樋口さんは山本さんの耳元で少し話して手が使えず寝たままの山本さんの上に覆いかぶさるようにして抱き締めた。


しばらく抱き締めてから部屋から出て来た。


「これで大丈夫よ。従順な振りをするわ。急いで逃げましょう。」


樋口さんは、冷静に言ったが目が、少し潤んでいた。


私も山本さんなら良かったなあと木本さんが、言ったのを聞いて樋口さんが、馬鹿ねとだけ返した。