急いで走りながら病棟を見て回ったが人が居る病室は少なかった。


たまに居るが何故か拘束されていた。


何故拘束されているのか聞こうと思ったが、樋口さんにそんな時間はないと言われて諦めた。


奥の方の病室で手に手錠を掛けられて足にも錠を掛けられた中井サクラさんを見つけた。


他の拘束された人は、簡単な足への錠だけだったが、中井サクラさんには2重に両方に錠が掛けられていた。

窓からそれが見えたので入ろうとしたが、鍵が掛かっていた。


三人で体当たりして部屋の鍵を壊した。



彼女は、ベッドにもたれるように寝ていたが、はっと起きた。


僕達の顔を見ると何故か笑った。


「今宮君探しかな?多分この部屋の少し先に居ると思うけど助けようとしても無駄よ。」


そう言って笑う。


僕は何故か腹が無性に立って彼女に逃げようと言った。


「私も今宮君も逃げられるのよ。逃げようと思えばね。だけど逃げたら大事な人が殺されるだろうから逃げないのよ。


私にとっては兄が殺されるだろうし今宮君にとっては貴方達ではないのかな。」


僕は驚いて他の人間も君と今宮君のように特別な身体能力を持ってしまったからここに拘束されてるのかと聞いた。


「特別な身体能力は今のところ私と今宮君だけよ。後はここの街に都合の悪いと思われる人達よ。」