山本さんは顔中血まみれになっていたので大丈夫ですか?と聞くと奴に殴られて鼻血だよと答えた。


右手に長いナイフが握られていてそれも血まみれになっていた。

良く見るとあちこちから血が出ていた。


「奴らこういうのは余り使わないなと思ってたらやはり使うんだな。」


ナイフを見ながら言うと少し休憩させてくれとその場に座り込んだ。


僕は山本さんの傷の状態を見ながら出血の多い両方の太ももに布切れを縛り付けた。


今の戦いの傷と前の傷が開いてしまってるようだった。


「何て言うか。弓で倒すのが一番楽だよ。鉄パイプもまだ、ましだよ。

こういうのを使って刺すのは嫌なもんだな。

ゲツジンだって見た目は人間だからよ。

しかし、持ってたのに持ってこなかった事とか皆にこういうのを勧めなかったのは甘かったな。」

山本さんが、言うのは何となく分かった。


しかし、今は傷の状態が心配だった。


「まだ隠れていたか!!」


そう言うと山本さんが、持っていたナイフを思いきり投げた。


僕は後ろを振り返り驚いた。


違うゲツジンが、右足にさっきのナイフを突き立てられて倒れていた。


「あちこちに待ち伏せが居るのかも知れないな。違う道を探すか。

多分そっちにも居るだろうが、一応やってみよう。」


山本さんが、ゲツジンからナイフを抜くと今までの方向より更に奥に入っていった。