しかし、いざ竹槍で刺すってなったら勇気いるよねと僕は笑った。


井上ちゃんも笑いながら言った。

「そうだね。だけど、今ならやれそうな気がするよ。こと美ちゃんは無理かも知れないけど、私と樋口さんならやれると思う。」


逞しいなと思いながらつい気になっていた事が口をついた。


「あのさあ、前に好きな人が居るような事を言ってたけどあれは、誰なの?まあ俺には関係ないんだけどね。」


言ってしまってから何だか後悔したが仕方なかった。


「好きって言うより憧れかな。関係ないなら聞かなきゃ良いのに、それとも性欲溜まってしまったの?」


そう真面目に性欲の事を聞かれると困った。


「そりゃ男だからね…だけど気にしないで。」


それだけ言うと手頃な石を急いで探すと逃げるようにその場を離れようとしたが、井上ちゃんが更に話しかけてきた。


「お互いに変わったよね。内田君かっこ良くなったよ。こないだ矢に刺された時は私はすっかりパニックになっちゃたよ。

とにかく、生き残ろうよね。

生き残れば変わった自分だからこんな状況だけど何とか楽しく生きて行けそうな気がするよ。」


僕は口ごもりながらそうだねとだけ答えてその場から逃げ出すように去った。


その後で変わった自分だから何とか楽しく生きて行けそうという言葉が残りそうだなと思った。