山本さんはエンジンをかけるとその場で向きを変えられない為にバックで道を下り始めた。


僕も乗ってどうか通れますようにと願っていたが数百メートル進んでダメだと分かった。


道に地割れが出来ていたのとその先には大きな岩が落ちていた。


山本さんは、車から降りると地割れの所を何とか飛び越え岩の上に登った。


戻ってくるとダメだなと言った。


「岩の先に更に大きな地割れがあって見える範囲だけでも崖崩れも酷い。」


僕ががっくりした。せっかく車を見つけたのに。


「気にするな。金属の固まりだぜ。いざとなったら逃げ込める。それにああいう道が有るとは知らなかったんだからな。」


確かにああいう道が有るとは知らなかったが、果たして歩いて行けるだろうかと思った。


「俺達が行けなくても皆で助け合って今宮君なら行けるかも知れない。

やってみる価値は有るが今すぐそれに掛かったら人手をこっちに取られるからとにかく落ち着いてからの方が良いだろう。

準備も出来てないのに向こうに行くのに夢中になってて敵が現れたら皆死ぬからな。

ここは避難場所と今は考えよう。

皆には俺が話すよ。」


怪我をして以来何かの役に立てたようで嬉しかった。