木本さんは、言い方は悪いが意外な男だった。


弓の上達も早いし仕事も良く動いた。


五十代とは思えなかった。


もう少し弓が上手くなれば充分過ぎる戦力になると思えた。


周りも新しい刺激のお陰で張り切ってるようだった。


次の日だいぶ身体の具合が良いので僕は竹を狩りに林に入った。


樋口さんから無理はしないでよと言われていたので様子を見ながら竹を刈っていた。


どうやら、ここはまだ皆来てない竹藪のようで丁度良い竹が沢山あった。

竹藪に入っていると少し先の竹藪が折れてるように見えた。


僕は更に奥に行った。


銀色に光る物が見えて何だと?思い竹藪の中を急いだ。


車だった。

僕から見ると横向きになっていて車の後ろを見ると一台やっと通れるような道が出来ていた。


獣道か?僕は車を見回した。


大きなワゴン車だった。ドアに手を掛けるとスライド式で簡単に開いた。



中は、ジュースも散乱していて慌てて車から逃げたようにも見えた。


車の中に入るとムッと生臭い匂いが鼻をついた。


助手席にベットリと血の跡が付いていた。


ここで殺られたのか?それとも別の場所で殺られそうになってここまで逃げたのかは分からなかった。


その辺りを歩いて見たが死体などは無かった。


男物だろうと思えるキャップが落ちているのを見つけただけだった。