山本さんは、そう言うと今宮君に頼むなと言った。


どうやら、まだ名前も分かっていないようだ。


その人は、山本さんが言う事にうんうんと頷くだけでまだ、座ったままだった。


「食べるのはまだ無理そうね。身体を拭くためと暖かい物が食べたいから水を沢山汲みに行きましょう。

小川で身体も洗いたいから女三人で行くわ。こと美ちゃんもう、大丈夫かな?

内田君の傷も拭きたいからね。」


樋口さんが、そう言うとポリ缶を用意して三人で出掛けて行く。


三人とも一応武装はしていたし樋口さんがリーダーなら大丈夫だろうと思えた。


その人はやっと起き上がるとキョロキョロ皆を見ていた。


「しばらくそっとしておこう。」


山本さんが、言うと今宮君もそうですねと答える。


「どうしてゲツジンに捕まったのだろう。」



僕は素朴な疑問を二人に投げ掛けた。



「分かんないけど、脳を取っとるとかではないようですね。遊びですかね。

昨日のゲツジンは戦闘能力は同じようでしたが、決して頭の良いタイプではなかったから。

頭が良ければああいう攻撃はしないだろうしゲツジンの中にも頭の良いグループと悪いグループが、居るんじゃないかと思いますよ。

昨日のグループは頭の良いグループに使われてたんじゃないかなと思います。

想像ですけどね。」


今宮君がそう答えた。