何度も石や何かが落ちてきたが僕達の塹壕も他の塹壕も無事だった。


かなりの数を落としてるのに僕達に何もダメージを与えられなかったって事は、このゲツジンは今宮君が言うようにゲツジンとして大した事は無いのかも知れなかった。

それでも精神的には参っていた。


他の皆は多分眠れてないから更に参っているだろう。

朝が近づいて来たので井上ちゃんと弓の準備を始めた。


井上ちゃんは雑誌を何冊かお腹にガムテープで留めていた。


内田君にもしてあげると言うとリュックから何冊かの雑誌を出すと僕のお腹に巻いてくれた。


良く見ると「奥さまが好きすぎて」

というタイトルのエロ本がお腹の表面に出てしまったが仕方ないと諦めた。



もしもの時にいくらかは気休めになるでしょうと井上ちゃんが言った。


確かに表紙の奥さまには悪いが気休めにはなった。

井上ちゃんは、すっかり変わったなと思った。痩せたし綺麗になった。


こういう状況だから化粧等は出来ないが前に比べたら別人のようだった。


何より性格がすっかり変わった。


人の事を考えたり周りをきちんと見たり出来るようになった。

元々は実は優しい女の子だったのだろうと思った。