しばらくコンビニの中は静かで三川君のうめき声だけが、時々聞こえたるだけだった。


うめき声も何だか少しわざとらしさを感じて誰も相手にしなかった。


「様子を見てくるから内田君と今宮君頼むぞ。」


そう言うと山本さんが、ゆっくりコンビニを出た。


「男以外にも頼むぞって言えば良いのにね。古い恐竜みたいね。」


樋口さんが苦笑いしながら言ったが何処か嫌味な感じではなく親しみを込めた言い方だった。


山本さんは戻ると苦い顔をしながら言った。

「向こうの道路に待機してるな。かなりの人数いるよ。どうするかな。」


「何人くらいなの?」

樋口さんが聞くと五十人は居るなと答えて山本さんは首を振った。


山本さんが言う向こうの道路とは、山道のカーブを曲がった所の道路でこちらからも見えるし向こうからも見える道路の事だった。


距離にしたら五百メートルを越える位の距離だった。


五十人なるとこの人数ではとても対抗出来ない。


「相手を攪乱して一時的に此所から逃げますか?相手は場所を特定している訳だし此所を棄てるって気がないといけないかも知れないですね。」



今宮君が冷静にそう言うと樋口さんが反論した。


「分かるけど、此処を棄てて果たして皆大丈夫なの?コンビニがあるから何とかやっていけてるってあるからね。」


「今宮君を非難する訳ではないけど、私も樋口さんと同じ意見だなあ」


井上ちゃんが樋口さんに賛成した。


今宮君と違い他の皆はコンビニに愛着が湧いているっていうのも有るかも知れないなと思う。