いまどき珍しい広袖の衣と襞袴(ひだばかま)を身に纏い、腰には、いまどき珍しい刀をさしている。 中肉中背で、顔の作りも薄い。 さして容姿のいい若者ではなかった。 しかも金髪黒髪人種が多い中、類稀な茶髪を無造作に伸ばし、それをうなじでくくっている。 くう、と若者の腹が悲しく鳴いた。 「そりゃあ……減るわな」 若者はぼそりと掠れた声で呟くと、行き当たりばったりで、すぐ左手に構えられた飯屋へと足を運んだ。