だが、帝都が完成してから100年。

四代目皇帝の代で、人の栄華は一時終止符を打たれた。

人の支配下も同然となった大陸を、次から次へと自然災害が襲ったのである。

あるところでは地震、あるところでは多雨による洪水、あるところでは旱魃、台風、たびかさなる落雷、山火事……。

ひと月のうちに全てを破壊した数々の災害は、大陸にはびこっていた人間の数を減らし、文明に大打撃を与えたのだった。

人口の激減に、旱による不作。

その影響が早くも都に影響を及ぼし、四代目の皇帝もとうとう頭を抱えた。

所詮、自然の猛威に、人は勝てなかったと言うことか。

困り果てた皇帝は、大陸の神を祀り、自らの心臓を贄として捧げることさえ考えた。


ーーーそこへ、ある奇妙な若者が現れたのである。


大陸に住む民たちとは、どこか違った服を身に纏った若者だった。


「あなたさまには、6人の御子がございますな」


若者は言った。


「我が主は、森羅万象を司る神でございます。
しかしながら、我が主は寿命を迎え、自然の万事を管理する力を失っております」


いまこの大陸を襲っている天変地異は、我が主が自然(ジネン)を管理できず、放って置かれたジネンが不安定になっている証なのです。

若者はそう続ける。


「死にゆく我が主の代わりに、あなたさまの6人の御子を、贄としておささげくださいませ」

「朕ではならぬのか」

「大地、水、焰、落雷、風、陽光。
この万象を表す6つを、それぞれひとつずつ、あなたさまの御子に管理していただきたいのでございます」