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この大陸は、もともとは巨大な蛟(みずち)が死に、その横たわった死骸から大陸ができたとも言われている。

蛟の死骸からできたとの逸話があるだけに、この大陸は東西に細長くできており、内陸州などほとんどありはしない。

しかし、この大陸は大小合わせて47の州で形成され、大陸の中心には巨大な湖がある。

加えて降雨量も豊富で、水にも恵まれている豊かな場所だった。

今日より2千年前。

この大陸に足を踏み入れ、文明を築いた人間たちは、数少ない内陸州である地に帝都を置き、そこを国の中心とした。

肥沃な大地に広大な山、豊かな水に恵まれた大陸だけに、稲を植えれば豊作となり、瞬く間に人の数が増えていった。

麻を布にしただけの簡素な着物から、絹を利用した華やかな着物が普及するようになり、稲作一本の農業から、麦、大豆と種類を増やし、人々の暮らしは日に日によくなるばかりであった。

人間をこのんで捕食する動物がいなかったのも幸いして、当初数十ばかりの人間の数は、およそ万にまで膨れ上がる。

恵まれた土地で文明はさらに高度なものとなり、この頃には、すでに商いと経済が出来上がっていた。