*同時刻 どこかのビル*



「あ、もしもし“クロさん”?」



「“黒”です」



「あ、はい。クロさんの目指してるものまで、あと少しですよ」



「黒の名も知れ渡ってますしね」



「クロさんの真似っていう噂もあるらしいですけど。どうおもいます?」



くすくす、小さく笑って聞いてみせる。




「そう言うと、思いました」



「ふふっ。僕はあなたの味方ですから」



「お人好しですね、あなたも」



窓から見渡せる街を眺める。



「ええ、じゃあ」



──誰かを守るたび、誰かが傷つく。