きっといつかは、こうなるってわかってた。



千花へのおめでとうだって、何日も悩んでようやく口に出せた言葉だった。



「あ、和架…!」



亜希が踵を返した俺を追いかけてくる。



他の奴らだって来るって、直感でわかっていた。



わかってたから、部屋まで無言で歩き続けて、「入るなら入れよ」部屋に入れることにした。




廊下で口を開けば、余計な想いさえ口に出してしまいそうだったから。



自分の中の黒い感情も、溢れてしまっていただろうから。



「……よかったの、アレで」



「瑞希は納得してないのか」



「納得とかじゃなくて……。まぁ、和架は俺に一番近い立ち位置にいるし。姉貴のことずっと見てたじゃん」



「ハルさんも、同じだろ」



俺が千花への想いを自覚する前から、あの人は千花を想ってた。



そして千花に想われてた。