「和架さ」
リビングに戻ると、こそりと亜希に話しかけられる。
「千花さんのこと、好きなんだ?」
尋ねてる割には、確信しているかのような声で。
「どうだろうな」
はぐらかしても、くすりと亜希は笑うだけ。
「あの優しい顔、依千花さんに向けてる顔とおんなじ顔。まぁ、見てる限り甘えたくても甘えられないって感じだけど」
コイツは周りをよく見てる。
……そうやって育ってきたんだから、仕方ねぇのかもな。
「甘えられたらラクかもな」
「好きなんだね、やっぱり。まぁ、和架のこと見てたらわかるんだけど」
「今更なんも変わんねぇよ」
そう、何も。
変わらない。
変わるのは、ただ千花の隣にいるべき男が出来るだけ。
俺らの立ち位置は、何一つ変わらない。



