「いや、いい。疲れてるだけだから」



「そっか。無理はしないでよ」



無理、か。



してるんだろうな、なんて他人行儀に考えながら立ち上がって、千花のいるキッチンへと入る。



「どうしたの?」



向こうからもこちらからも、お互いは見えるけど、向こう側は話で盛り上がってるから俺らのことは気に止めないだろう。




「別に、なんもねーけど」



けど。



「泣きそうな顔、してるわね」



「…してるか?」



「うん。和架が私に傍にいてほしいとき、いつもその顔するからわかるわよ」



俺って顔に出やすいのか。