俺が白魏に来たのは、小5のとき。



「和架ー、千花ちゃん来てくれたわよー」



階下から聞こえたその声に、部屋を出て階段を駆け下りる。



「落ちないでね、焦らなくていいから」



優しいその声の持ち主に、ぎゅっと抱きつく。



……と、言っても千花なのだけれど。




「ふふ、待ってた?それとも、勉強教えて欲しいところあった?」



もちろん、前者。



照れくさいわけでもないし、意地を張ったわけでもないけど、「千花が昨日プレゼントくれるって言ってたから」と答える。



──あれ、これって俺欲張りみたいじゃね?



そう思ったけど、千花はくすくすと笑っただけだった。