「和架って、」
「ん」
「私のこと、大好きね」
その余裕げな笑みを見て言い返したくなるが、残念ながらその通り過ぎて何も言えねーな。
「好きだよ。誰よりも愛してる」
依千花は綺麗に微笑んでくれる。
「仕事、あと少しだから待ってて」
「ん」
それっきり俺も依千花も黙ったせいで、部屋には依千花の叩くキーボードのカタカタという音だけが響く。
「…終わったわよ」
パタン、と。
依千花がパソコンを閉じた。
パソコンが乗った机を、依千花が元に戻すのを確認して。
それから腕を引き寄せて、唇にほんの一瞬触れるだけのキスをする。