「ない。絶対ない。行くよ花」



「わっ、待ってよ瑞希」



「転ばないでね」



「転ばない、わぁっ」



「っ、言ったばっかじゃん。ったく、危ないでしょ」



「……ごめんね」



「いいけど…ほら、行くよ」



「はーい」



差し出された瑞希の手を取る花を見て、千花はふふっと笑った。




「幸せそうね」



「俺らもな」



「ふふ。そろそろかしら?緊張するわ」



「ふっ。大丈夫だよ」



軽く一瞬、触れるだけのキスをして。



「それじゃあ」



呼び出しがかかったのを聞いて、依千花に手を振る。