「でも、依千花ちゃんもずるいよね。なんだかんだ言って、和架のことずっと好きだったらしいよ」



「…は?」



「泉ちゃんって猫、飼ってるでしょ」



「あぁ、ハルさんのな」



「あれって、和架が生まれたとき名前の候補に、依千花ちゃんが“和泉”で“いずみ”って考えてたらしくて」



「………」




「和泉の“和”と、和架のお母さんが考えてた別の名前の“架”を組み合わせて和架になったらしくて。その時の“泉”を、猫につけたらしい」



んじゃあ、あの猫の名前が好きなヤツって言ってたのって……。



チラっとキッチンで、追加の料理を作ってる千花に視線を送る。